日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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症例報告
外傷性血気胸として発症した横隔膜ヘルニアを伴う脾損傷の1手術例
須納瀬 豊吉成 大介戸塚 統戸谷 裕之小川 博臣平井 圭太郎高橋 憲史田中 和美富沢 直樹小川 哲史横江 隆夫竹吉 泉
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2011 年 31 巻 3 号 p. 541-545

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抄録
症例は15歳の男性,主訴は呼吸困難と胸部痛。2007年5月,道路を横断中にトラックにはねられ受傷。近医で外傷性血気胸の診断で胸腔ドレーンを挿入され,多量の出血を認めたため当院へ転送された。来院時ショック状態で,血圧維持のために大量の補液,輸血を必要とした。胸部CTでは多発肋骨骨折と血気胸のほかに,脾臓損傷と横隔膜損傷および脾臓の胸腔内脱出を認め,腹腔内にはほとんど出血がなかった。外傷性血気胸,横隔膜ヘルニア,脾損傷と診断して緊急手術を行った。まず開胸で,横隔膜と胸壁の出血を止血し,胸腔内に脱出した脾臓を圧迫止血しつつ腹腔内に還納した。続いて腹部操作とし,膵脾を脱転して脾臓を縫合止血後に横隔膜を修復した。外傷により,横隔膜損傷と脾損傷をきたし,脾臓が胸腔内に脱出したために血気胸となったと思われた。呼吸困難を主訴に外傷性血気胸として発症した脾+横隔膜損傷を緊急手術により救命し得た症例を経験したので報告する。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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