日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
中咽頭癌小腸転移穿孔の1例
渡邉 賢二矢吹 英彦稲葉 聡小原 啓庄中 達也北 健吾
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2011 年 31 巻 7 号 p. 1049-1051

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抄録

症例は62歳,男性。2007年4月に中咽頭癌(扁平上皮癌 T2N2aM0)の診断で化学放射線療法を施行し,寛解となっていた。2008年4月に頸部リンパ節再発を認め両側頸部郭清を施行したが,同年8月に頸部再発,右肺転移,胸椎転移を認めS─1開始となった。その後も頸部再発巣は増大,両肺に多発転移を認め病状は進行していた。2009年8月に急性腹症として当科紹介となり消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した。術中所見で回腸穿孔の診断となり同部位を切除・吻合した。病理組織学的検査の結果、穿孔部位に小腸壁を貫き浸潤する扁平上皮癌を認め,中咽頭癌小腸転移の診断となった。術後は良好に経過したが,肺転移の増悪による呼吸不全のため第37病日に永眠された。まれな中咽頭癌小腸転移穿孔の1例を経験したので報告する。

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