抄録
症例は74歳,女性。右腰部の腫瘤を自覚し近医を受診。皮下良性腫瘍(脂肪腫)と診断され経過観察されていた。5ヵ月後に腫瘤の増大を認めたために,精査加療目的で当科へ紹介となった。腹部CT,腹部MRI検査で後腹膜脂肪織と連続する約6×5cm大の腫瘤を認めたため,右腰ヘルニア(鑑別診断として脂肪腫)と診断し手術を施行した。皮下に脂肪腫は認めず,上腰三角の位置にヘルニア門を認めたため,右上腰ヘルニアと診断し,Mesh-plugによる修復術を施行した。術後6日目に退院し,現在のところ再発は認めていない。腰背部に腫瘤を認める場合には,腰ヘルニアの存在も念頭におき診療にあたる必要があると考えられた。