抄録
胆石によりイレウスを発症した2例を経験したので報告する。症例1は65歳女性。嘔気を主訴に来院。CTで回盲部腸管内の結石様異物と,その口側の腸管拡張を認め,胆石イレウスが疑われた。保存的に加療したところ,第7病日に長径5cm大の楕円体状の結石が排便時に排出された。上部消化管内視鏡,十二指腸造影などで胆嚢十二指腸瘻が確認された。症例2は85歳男性。以前より胆嚢結石を指摘されていた。嘔気を主訴に来院。CTで十二指腸水平脚に胆石の嵌頓を認め,胆石イレウスと診断した。上部消化管内視鏡下に治療を行ったが胆石を除去できなかった。その後,胆石が肛門側に移動したため,保存的治療を継続したが,回腸で再嵌頓した。保存的治療で改善しないため,外科的治療を選択した。回盲部より160cm口側の小腸(←回腸)を切開し,長径4cm大の楕円体状の結石を摘出した。同程度の大きさの胆石によるイレウスを経験したが,それぞれ保存的および外科的に治療した。