日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
肝転移から腹腔内出血をきたした胃原発絨毛癌の1例
神賀 貴大
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2014 年 34 巻 1 号 p. 133-137

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抄録

今回われわれは肝転移からの腹腔内出血をきたした胃原発絨毛癌を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は83歳の男性で,間欠的な左下腹部痛を主訴に来院した。腹部造影CTにて肝外側区域および肝後区域に血管腫様の造影効果のある腫瘍と肝および脾周囲にCT値が100前後の腹水の貯留を認めた。肝血管腫の破裂による腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した。手術所見では肝外側区域の腫瘍表面の被膜が裂けて出血しており,肝部分切除術を施行した。切除標本は約8cm大の海綿状の腫瘍であり,病理検査で絨毛癌の診断となった。術後の上部消化管内視鏡で胃に2型腫瘍を認め,生検では多核異型細胞がhCG染色で陽性となる低分化腺癌であり,胃原発絨毛癌と診断した。肝腫瘍は胃原発絨毛癌の肝転移と診断した。術後に肝転移から再出血があり,TAEで止血した。肝転移が急激に増大するとともに全身状態が悪化し,術後第40病日に永眠した。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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