日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
外発性肝囊胞の外傷性破裂に伴う囊胞液の胸腔内流入と肝囊胞感染を合併した1例
魚嶋 晴紀伊藤 亮治加藤 一郎賀古 眞
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2014 年 34 巻 1 号 p. 153-156

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抄録

症例は56歳,女性。7年前より常染色体優性多発性囊胞腎,多発性肝囊胞を指摘されていた。転倒し腹部を打撲した直後より,心窩部痛持続するため当院を受診した。腹部CT検査にて腹水貯留と肝囊胞被膜の断裂が認められ,外傷性肝囊胞破裂と診断した。腹膜刺激症状は認められず,保存的に外来観察としたが,翌日呼吸苦が出現し,胸部単純X線写真で右胸腔内に大量の胸水が認められた。肝囊胞内液の胸腔内流入と考え,経皮的に胸腔ドレーンを留置し排液した。その後胸水は消失し,入院第6日ドレーンを抜去した。入院第8日発熱と腹膜刺激症状が出現し,エコー検査で肝囊胞内にsludge echoが認められ,肝囊胞感染と診断した。抗菌薬投与と経皮的肝囊胞ドレナージ術を施行。術後は症状改善し,入院第42日軽快退院した。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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