抄録
症例は7歳,女児。主訴は右下腹部痛。右下腹部に圧痛,筋性防御を認め,白血球,CRPの上昇を認めた。CTで虫垂と連続する腫瘤を認め,穿孔性虫垂炎と診断し,緊急手術を行った。開腹後,後腹膜,S状結腸,膀胱,大網に浸潤した腫瘤を認めた。時間外手術のため術中迅速組織診は行えず,肉眼所見で悪性後腹膜腫瘍と診断した。治癒切除は困難で,可及的な腫瘤摘出術を行った。術後,病理組織学的検査で放線菌症と診断された。6ヵ月間の抗生物質投与を行い,術後7年間再発なく経過している。腹部放線菌症は,悪性腫瘍との鑑別が困難で,術中迅速組織診が可能な状況で可及的な切除を行い,その後の長期の抗生物質投与が治癒に必要と考えられた。