日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
症例報告
急性虫垂炎を契機に発症した壊死性筋膜炎の1例
三島 圭介塩谷 猛南部 弘太郎渡邉 善正小峯 修渋谷 肇大山 莉奈清水 貴夫鈴木 英之
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2015 年 35 巻 6 号 p. 823-828

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抄録
46歳,男性。右下腹部痛を主訴に近医を受診し,穿孔性虫垂炎と診断され当院に紹介された。初診時は下腹部が発赤しており,開腹すると虫垂は膨隆した後腹膜に癒着していた。後腹膜を切開すると悪臭を伴う黄白色の膿汁を認め,虫垂切除および膿瘍ドレナージ術を行った。第3病日に陰囊皮膚が壊死し,デブリードマンを行った。第11病日には右側腹部から両鼠径部にまで広がる発赤を認めた。Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis(LRINEC)scoreは9点であり,壊死性筋膜炎と診断し切開ドレナージ術を行った。その後は十分な創洗浄と適切な創処置を連日行い,第59病日に退院となった。虫垂炎は治療が遅れると重症化することがある。蜂窩織炎が併発した際には壊死性筋膜炎への移行に注意し,積極的な外科的処置とその後の集学的治療を根気よく続けることが救命につながると考えられた。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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