日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:腹部嵌頓ヘルニアにおける治療法―メッシュ使用の是非について―
閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対するメッシュ使用の検討
長谷川 繁生小澤 孝一郎水谷 雅臣東 敬之森谷 敏幸横山 森良間瀬 健次薄場 修
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 36 巻 3 号 p. 575-577

詳細
抄録

当科で過去4年間に経験した閉鎖孔ヘルニア23例について,検討した。全例嵌頓例であり,女性であった。4例に用手還納を行い,待機手術を施行した。平均年齢は,85.7歳であり,平均Body mass index(BMI)は,17.6と痩せた高齢女性に多かった。腸管切除は,12例に施行し,内9例にメッシュ(6例にシート,3例にプラグ)を用いて対応した。死亡例は3例であったが,MRSA腸炎,喉頭炎,誤嚥性肺炎であり,メッシュ使用に起因するものは,なかった。また,発症から受診までを経時的にみた場合に,発症当日に手術を施行した症例は,7例中1例に腸管切除を施行していたが,発症から4日目以降に手術を施行した症例は,5例中全例に腸管切除を施行しており,発症からの経過日数が腸管切除の適応に重要であると思われた。当科での閉鎖孔ヘルニアの手術は,midline extra peritoneal approachで行っており,患側だけでなく健側も同時に,手術を行う利点があり,反対側の再発を予防している。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top