日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
21年前の全人工股関節置換術に使用された臼蓋スクリューの骨盤内突出により直腸炎をきたした1例
三木 明寛大谷 剛北村 好史石川 順英
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2016 年 36 巻 3 号 p. 651-654

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抄録

81歳,女性。21年前に右全人工股関節置換術を施行された。急激な右下腹部痛のため受診した。CTでS状結腸から直腸にかけての強い浮腫性変化と近傍には骨盤腔内に突出した臼蓋スクリューを認めた。明らかな穿孔所見は認めなかった。翌日のCTで腸管の浮腫性変化に増悪を認め,臼蓋スクリューの接触に伴う腸管穿孔の危険性を考慮して緊急手術を施行した。術中所見より臼蓋スクリューは2cmほど骨盤腔内に突出しており,先端部と接していた直腸に炎症所見を認めた。臼蓋スクリューは右外腸骨静脈を貫通しており切断や抜去は困難なため,ウルトラプロヘルニアシステム(UHS)を使用して臼蓋スクリュー先端を被覆した。術後経過は良好であった。全人工股関節置換術に伴う臼蓋スクリューの骨盤腔内への突出はまれであり治療法も状況に応じた対応が求められる。臼蓋スクリューの切断・抜去が困難な場合には先端の被覆が有用であると考え報告した。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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