日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術中内視鏡で切除範囲を決定した非閉塞性腸間膜虚血の1例
片桐 美和石井 浩統萩原 純新井 正徳金 史英横田 裕行
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2016 年 36 巻 7 号 p. 1223-1226

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抄録

非閉塞性腸間膜虚血(non-occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)は主幹動静脈に閉塞がない腸管虚血である。近年保存的治療の報告が散見されるが,不可逆性の壊死については,その切除範囲決定にしばしば苦慮する。今回,術中内視鏡が切除範囲決定に有用であった症例を経験したので報告する。症例は79歳男性。意識障害,消化管出血を主訴に搬送され,造影CT検査でNOMIと診断し,緊急開腹術を施行した。術中所見では直腸から横行結腸中央部までと回腸の一部が壊死しており,これを切除した。翌日のsecond look operationで,術中大腸内視鏡を施行した。横行結腸断端は全周性の粘膜壊死を認めたが,約4cm口側に正常粘膜が1/2周ほど残存しており,同部でストーマ造設とした。NOMIは,虚血が粘膜側より広がるため,漿膜側の観察から粘膜側の虚血性変化の判断ができないことがある。NOMIにおける切除範囲の判断に術中内視鏡は有用であると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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