日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
3点式シートベルトによる外傷性十二指腸球部穿孔の1例
良永 康雄吉田 純
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 36 巻 7 号 p. 1227-1230

詳細
抄録

症例は21歳,男性。搭乗中の軽乗用車が前方の車両へ追突し救急搬送となった。事故時,患者は助手席で3点式シートベルトを着用していた。来院時,心窩部から右側腹部にかけて斜走するシートベルトサインと,右側腹部に圧痛を認めた。反跳痛は認めなかった。血液検査で白血球の増多と軽度の肝障害を認めた。腹部造影CTで,上腹部を中心に散在するfree airと,横行結腸肝弯曲部に壁肥厚を認めた。Shoulder beltによる横行結腸穿孔を疑い,緊急開腹した。横行結腸肝弯曲部には壁内血種と漿膜損傷を認めたが,穿孔は認めなかった。十二指腸球部前壁に10mmの穿孔を認め,これを単閉鎖した。術後,速やかに腹部症状は消失し,術後12日目に退院となった。術後4ヵ月の時点で合併症を認めていない。3点式シートベルトによる腹部臓器の損傷で,十二指腸球部の穿孔は比較的まれである。文献的考察を加えて報告した。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top