日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
遅発性に腸管狭窄をきたし小腸切除を行ったNOMIの1例
網木 学山崎 将人
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2016 年 36 巻 7 号 p. 1271-1275

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抄録

症例は76歳の男性で,腹痛を主訴に救急外来を受診した。来院時,腹膜刺激症状を伴うショック状態であり,腹部CT検査で門脈ガスを認めたため,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。回腸に非連続性の暗赤色の色調変化を認め,非閉塞性腸間膜虚血症(non─occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)と診断した。腸管壊死には至っていなかったため,second look operationの方針とした。12時間後,再開腹術を行ったが,腸管の色調が改善していたため,切除は行わずに閉腹した。しかし,術後,腹痛,嘔吐を繰り返すようになり,第31病日に試験開腹術となった。回腸に約5cmの狭窄部位を認め,小腸部分切除を行った。病理組織学的所見では腸管全層に繊維化をきたしており,虚血に伴う遅発性腸管狭窄と診断された。NOMIによる遅発性腸管狭窄の報告はまれであり,文献的考察を加えて報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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