日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート)服用中の透析患者に発症したS状結腸穿孔性腹膜炎の1例
松田 直樹金谷 欣明治田 賢高尾 智也藤井 徹也平井 隆二
著者情報
キーワード: 便秘, 大腸穿孔
ジャーナル フリー

2017 年 37 巻 1 号 p. 107-111

詳細
抄録

症例は78歳女性。突然腹痛が出現したため近医受診し腹部所見より汎発性腹膜炎が疑われ当院内科受診した。腹部CTを施行したところS状結腸の腸管壁の不連続,周囲のfree airおよび脱出した便塊を認め,S状結腸穿孔が疑われ同日外科紹介となり,緊急手術を施行した。術中所見としてはS状結腸に2cm大の穿孔を認め,腸管内外に硬い便塊が認められたため,ハルトマン手術を行った。患者は糖尿病性腎症による腎不全のため9年前より血液透析導入されており,カリウムコントロールのためポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Sodium polystyrene sulfonate:以下,SPS,ケイキサレート)を服用していた。術後の病理所見では穿孔部の腸管壁へのSPSの沈着が認められた。SPS服用による腸管穿孔や潰瘍形成の報告が散見されており,本症例も病理所見よりSPS服用がS状結腸穿孔の発症に関与している可能性が示唆されたため,文献的考察を交えて報告する。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top