2019 年 39 巻 6 号 p. 1025-1029
高齢者の虫垂炎では症状が非典型的であることが多く重症化率が高いとされている。当院において2011年5月から2017年8月までに急性虫垂炎に対し治療を行った15歳以上の患者236例を対象とし,70歳以上を高齢群,70歳未満を非高齢群に分類しさらにそれぞれ外科的治療群と保存的治療群で比較した。高齢群で有意に膿瘍形成症例が多く保存的治療が選択されていた。外科的治療群において高齢群と非高齢群の手術部位感染の合併症率に大きな差は認めなかったが,虫垂炎が重症化した症例に対し保存的治療を選択することにより術後合併症のリスクが高い高齢者の手術症例が減ったことが原因と考えられた。高齢者では,来院時に虫垂炎が重症であることが多いが,炎症が高度な虫垂炎に対する保存的治療は術後合併症を低下させ有用である可能性がある。