2023 年 43 巻 6 号 p. 997-1000
症例は73歳,男性。これまで2回の胆管炎の既往がある。今回,急性胆管炎と急性膵炎を発症し,保存的加療により軽快した。ERCPでは総胆管に結石や狭窄を示唆する所見はなく,拡張した胆管と傍乳頭十二指腸憩室を認めた。既往にある胆管炎と今回の膵炎,胆管炎は傍乳頭憩室によるLemmel症候群と考え,ESTを施行した。その後3年以上無再発で経過している。Lemmel症候群の治療は外科治療が主であるが,低侵襲な内視鏡治療により再発を予防し得た報告は少なく,文献的考察も加えて報告する。