日本腹部救急医学会雑誌
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心疾患を有する高齢者腹部緊急手術症例の検討
遠野 千尋大森 浩明入野田 崇井上 義博旭 博史斉藤 和好
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2001 年 21 巻 3 号 p. 529-534

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抄録
65歳以上の腹部緊急手術症例49例を心疾患合併14例と非合併35例にわけ, 背景や周術期管理, 退院時の状態を比較した。合併群では男性の比率が高い傾向にあった。両群間で術前のAPACHE II scoreに差はなかったが (13.3vs11.8), 呼吸補助時間 (17.2日vs9.1日) や循環管理時間 (14.9日vs9.4日) が合併群で遷延する傾向を認めた。また, 死亡率は合併群で高い傾向にあったが有意差はなかった (35.7%vs20.0%)。合併群は平均在院日数が長く (26.1日vs20.8日), ADLの指標であるBarthel index (43.5vs50.3) やPS (3vs2) の改善が弱い傾向にあり, 自宅退院できず転院を余儀なくされた症例が多かった (44%vs25%)。今後心疾患合併例に対しては, 術後は慎重な管理で心疾患の悪化また付随する呼吸器疾患, 感染症を防ぎ, 早期離床を目指すべきと思われた。
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