日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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術前診断にThin-section CTが有用であった空腸嵌頓胆石イレウスの1例
本邦38症例の嵌頓部位別の検討
竹下 訓子前田 利郎関川 修司丸山 恭平矢田 善弘大同 毅文 圭三
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2003 年 23 巻 3 号 p. 557-560

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抄録
症例は66歳, 男性。左上腹部痛と嘔吐を主訴に来院。入院時現症は上腹部が軽度膨満, 左上腹部を中心に圧痛を認め腸蠕動音は亢進していた。入院時検査成績は炎症反応, 胆道系酵素の軽度上昇を認めた。腹部単純X線検査で小腸のガス像と鏡面形成がみられイレウスと診断した。腹部US, CTで小腸の拡張, 萎縮胆嚢内に結石, pneumobiliaを認めた。小腸での単純性イレウスと考え, イレウス管を挿入し造影検査を行ったところ, 上部小腸で完全閉塞をきたしていた。続いて閉塞部位を狙い, 2mm sliceで腹部thin-section CTを行ったところ, 腸管内に比較的lowとhigh densitiyの混在する腫瘤を認めた。臨床経過と画像所見から胆石イレウスを疑い開腹術を施行した。閉塞部の空腸には長径約40mmの胆石が嵌頓, 胆嚢底部は十二指腸球部と穿通しており, 結石除去と胆摘, 瘻孔閉鎖術を一期的に行った。結石分析はビリルビンCa石であった。
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