日本腹部救急医学会雑誌
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消化管穿孔をきたしたアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例
水上 健友大毛 宏喜香山 茂平竹末 芳生横山 隆末田 泰二郎
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2003 年 23 巻 4 号 p. 669-672

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抄録
アレルギー性肉芽腫性血管炎 (AGA) は, 末梢血と組織中の好酸球の増加による壊死性血管炎に基づく多臓器病変を特徴とする. 今回, 急激な増悪で胃穿孔をきたしたAGA症例を経験した. 症例は32歳, 女性. 喘息の既往があり, 原因不明の腹痛を主訴として入院した. 末梢血中白血球数29, 000/mm3 (好酸球44%) と上昇し, 臨床症状からAGAを疑った. 胃内視鏡では前庭部にびらんを認めるのみであったが, 6日後, 腹痛の急激な増悪をきたし, スデロイドパルス療法にて血液検査上改善傾向を示したが, 腹部X線写真で遊離ガス像, 腹部CTで肝内グリソン鞘に沿ったairの進展を認め, 消化管穿孔性腹膜炎と診断し, 緊急手術を行った. 小穹側胃角部に径約2.5cmの穿孔を認めこれを縫合閉鎖した. 切除標本では, 潰瘍周囲組織内の血管壁に好酸球の浸潤を高度に認め, AGAと診断した. 術後は好酸球を指標としたプレドニン投与を行い, 2ヵ月後に退院した.
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