日本腹部救急医学会雑誌
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ショックを契機として発見された心臓カテーテル検査後の巨大後腹膜血腫の1例
加藤 賢一郎茂木 克彦中村 理恵子白坂 健太郎岡田 慶吾村山 剛也米山 公康戸枝 弘之今津 嘉宏菊山 茂博大山 廉平
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2003 年 23 巻 6 号 p. 939-943

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抄録
後腹膜血腫は早期診断が難しく, ショックとなり初めて発見されることも少なくない. 今回, われわれは心臓カテーテル検査後に生じた巨大な後腹膜血腫を経験した. 症例は71歳の男性. 胸痛を認め緊急入院となる. 心臓カテーテル検査にて急性心筋梗塞と診断しPTCAを施行した. 約10時間後に突然の血圧低下を生じた. 血液検査でHbが9.4g/dlより6.6g/dlと低下し, 側腹部の軽度膨隆を認めた. 腹部CT検査にて後腹膜に低吸収域を認め, 巨大後腹膜血腫と診断した. 鼠径部の穿刺部位には肉眼的に異常なく, 自覚症状も認めなかった. 抗凝固療法を中止し, 輸血を行い経過観察とし, 急性心筋梗塞の症状安定を待ち手術を施行した. 穿刺部は適切であったが, 留置したシースと血管壁の隙間より漏れた血液が大腿血管鞘を通過し, 後腹膜へと流れ込み巨大血腫を形成していた. 心臓カテーテル検査後の後腹膜血腫に関しては本邦での報告例が少なく, 文献的考察を加えて報告する.
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