日本腹部救急医学会雑誌
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異食した単三乾電池による大腸穿孔性腹膜炎の1治験例
森 義之中瀬 一
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2004 年 24 巻 3 号 p. 653-657

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抄録
症例は, 64歳男性。27歳時に統合失調症と診断され, 当院精神科閉鎖病棟入院中で, 以前から異食を繰り返していたが, 自然排泄されていた。2001年4月16日, 発熱をきたすも解熱剤にて経過観察。しかし, 発熱の継続と, 腹痛を訴えたため, 2日後に腹部X線, 超音波検査施行。単三乾電池による穿孔性腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した。開腹時所見では, 単三乾電池1個が上行結腸の穿孔部から露出していた。摘出標本では, 穿孔部周辺の大腸粘膜が広範囲に潰瘍を形成しており, 乾電池2本が大腸壁の潰瘍壁にはまりこみ, その内の1個が穿孔部から露出していた。消化管異物による穿孔は, ほとんどが鋭的異物によるものであり, 単三乾電池による消化管穿孔例は過去に報告をみない。統合失調症患者における異食した単三乾電池による大腸穿孔性腹膜炎の1例を経験したので報告する。
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