日本腹部救急医学会雑誌
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エアバッグ損傷による腸間膜断裂の1例
水本 一生松石 頼明峠 哲哉
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2004 年 24 巻 3 号 p. 681-684

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抄録
エアバッグ損傷による腸間膜断裂の1例を経験した。症例は44歳, 男性。軽自動車運転中, 対向車と正面衝突した。受傷時シートベルトを着用し, エアバッグも作動していた。入院時, 軽い腹痛を認めるのみであったが, 入院後24時間頃より激しい腹痛を訴え, 腹部CT検査で腹腔内に液体貯留を認めたため, 小腸穿孔を疑い開腹術を施行した。開腹所見ではTreitz靱帯より220cm肛門側の回腸が40cmにわたって壊死に陥っていたため, この部を切除し, 一期的に端々吻合を施行した。われわれは他に2例シートベルト装着時のエアバッグ損傷による腸間膜裂傷を経験している。腸間膜裂傷による血行障害では遅発性の腸管壊死に至る可能性があるので, 身体所見を繰り返し観察し, 同時に血液検査および画像検査を施行することが重要と考えられた。
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