抄録
症例は81歳女性。2003年9月19日早朝より腹痛, 嘔吐が出現し当院を受診した。下腹部を中心とした膨満と圧痛があり, 腹部造影CT検査にて腸管の拡張と石灰化した腫瘤像を認めた。保存的治療を開始したが, 腹膜刺激症状が出現したため当日緊急手術を施行した。開腹所見では, 癒着は広範であった。癒着を剥離し検索するとCTでみられた石灰化部位を中心に拡張した腸管がクローバー状に癒着しており, ここが原因部位と判断した。癒着腸管を切除しイレウスを解除した。病理組織検査所見では, ガーゼ由来と思われる繊維状の物質がみられた。術後約50年という長期間を経て, イレウスで発症した報告はまれであり若干の文献的考察を加え報告した。