日本腹部救急医学会雑誌
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医療費からみた大腸癌イレウスに対する治療
一期的切除吻合と経肛門的イレウスチューブ留置後待機手術の比較検討
渡部 通章鳥海 弥寿雄川野 勧田中 知行穴澤 貞夫矢永 勝彦
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2005 年 25 巻 3 号 p. 517-520

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抄録

大腸癌イレウスに対する術中洗腸プラスー期的切除吻合 (A群) と経肛門的イレウスチューブによる減圧待機的手術 (B群) を医療費の面から比較検討した。理論的にはA群が総保険点数が低いと考えられた。しかし, 1997年から2003年の左側大腸癌イレウス症例に関して当院と関連1施設をあわせ, 両群を比較検討したところ, 術後退院までの平均日数, 手術時間, 出血量において両群問で差はなく, 総保険点数も両群問に差は認めなかった。B群ではイレウス管挿入から手術までの平均日数は13.8±7.1日であった。一般的予測として, 医療経済的側面では術中洗腸プラスー期的吻合が優れていると思われるが, 各患者が必ずしも期待される順調な経過をたどるとは限らない。安全性も含め, 個々の症例ごとに治療法を検討する必要がある。経肛門的イレウスチューブ挿入例では減圧率の向上と挿入から手術までの日数の短縮が今後の課題である。

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