2006 年 26 巻 4 号 p. 563-565
全内臓逆位症に合併した横行結腸癌の穿孔性腹膜炎に対して緊急手術を行ったl例を経験した。症例は56歳男性。急性腹症のため救急搬送された。CTの所見などから内臓逆位症を合併した消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断しただちに開腹手術を施行した。横行結腸癌T, Circ, 2, SE, P0, HO, M (-), N (-), Stage IIと診断し, いわゆる結腸右半切除術 (本症例では左半分の結腸を切除), D2郭清を行い, 術後3年間健存中である。全内臓逆位症において緊急手術を要した大腸癌による穿孔性腹膜炎は報告例がなく極めてまれな病態であった。術前のCTを詳細に検討し解剖をよく理解した上で慎重に手術を行うことが必要であると考えられた。