抄録
本研究の目的は、救急外来受診後、入院せず帰宅する患者に対し、救急看護認定看護師がどのような看護が重要であると認識し、実際どのような看護を行っているのか、その実態を明らかにすることである。今回、近畿圏内の初期・二次救急医療施設に所属する救急看護認定看護師156名を対象に、郵送法による質問紙調査を行った。回答のあった46名(回収率30.7%)のうち、45名(有効回答率30.0%)を分析対象とした。 調査の結果、救急看護認定看護師たちは入院せず帰宅する患者への看護について、患者や家族が現在の状態を理解したうえで帰宅できることが重要であると認識し、医師の診察終了後の時間にコミュニケーションをとって確認・調整をしていることが明らかとなった。また、その際に今後の症状悪化や異常についての次回受診のタイミングや予測・出現し得る症状の対処方法が伝わるよう心がけており、これらは帰宅後これから起こることを予測しつつ、医師の説明に補足をしている点に特徴がみられた。今後、救急外来から患者を帰宅させる際の観察・確認、説明の具体的内容や手順、これらを救急外来であるがゆえに短時間で実施するためのタイミングなどを検討し、その効果を検証していく必要がある。 また、救急車の利用方法についての説明や、生活改善の指導をすることによる介入やその効果について引き続き調査の余地があることや、帰宅後のフォローアップ、他科・他職種との連携のあり方に課題があることが示唆され、さらなる検討の必要があると考えられた。