日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
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院内トリアージに関する現状調査
五十嵐 佑也武藤 博子
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2021 年 23 巻 p. 48-56

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抄録

目的:A病院では緊急度判定支援システムJTAS2017に準じた緊急度の5段階に「トリアージできず」を加えた計6段階で判定している。A病院で行われた先行研究によりアンダートリアージやトリアージできず症例が複数例生じていることが判明したため、院内トリアージの質向上を目的に、トリアージの現状や背景要因について調査を行った。

方法:2019年5 〜6月までの2カ月間で救急外来を受診したwalk-in患者の緊急度と、来院時間、来院時主訴、事後検証結果を集計した。

結果:調査期間内の患者総数は827名であった。そのうちアンダートリアージと判定されたのは43件(5%)、トリアージできず73名(9%)であった。来院数とアンダートリアージ・トリアージできず件数には正の相関があり(アンダートリアージr=0.66、p<0.001、トリアージできず件数r=0.61、p<0.01)、来院数が多い時間ほどアンダートリアージ・トリアージできず割合が増加した。来院時主訴別では、アンダートリアージは薬物乱用と眼科系の主訴で多く、トリアージできず症例は薬物乱用・産科、婦人科・メンタルヘルスおよび心理社会的問題の主訴で多かった。

結論:緊急度判定をより短時間で行えるよう、情報収集やフィジカルアセスメント・トリアージ記録を短時間で行う訓練の必要性が示唆された。また、とくにトリアージができていない主訴についても情報共有を行う必要がある。

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© 2021 一般社団法人日本救急看護学会
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