選挙研究
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被選挙権の法的性質をめぐる近時の議論
湯淺 墾道
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 24 巻 2 号 p. 51-61

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抄録

選挙権の性質については憲法学界において論争が続いているが,被選挙権の性質についての議論は少ない。しかし近時,多選制限と関連して被選挙権は憲法上の権利ではないとする見解が明らかにされたことを契機に,あらためて被選挙権の性質が問われている。従来の通説では被選挙権は選挙によって議員その他に就き得るための資格,選挙人団によって選定されたときこれを承諾し公務員となりうる資格であるとされたが,昭和43年の大法廷判決などに触発され,被選挙権の憲法上の権利性を肯定する学説も増えている。被選挙権の憲法上の権利性を認めるとすれば,選挙権の中に含まれていると見るべきであり,選挙権の公務性(一定の公共的性質)から説明できる。

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© 2009 日本選挙学会
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