2002 年 17 巻 p. 100-112,206
1998年参議院選挙は先行研究により「業績評価選挙」と呼ばれている。本稿は,有権者の「業績評価」は自民党の敗北をもたらしただけでなく,投票率の上昇にも貢献したことを,明るい選挙推進協会による1998年参議院選挙調査データにより,実証する。すなわち,「業績評価」は前回1995年選挙で自民党に投票した人たちを,自民党以外の政党に向ける主要な要因となったと同時に,前回選挙では棄権した人たちを投票へと誘う主要な要因となったのである。
なお,明推協調査の特徴は継続性にあるから,この選挙を超えた広い視点で国政選挙を眺めることができる。「亥年選挙」と「参議院選挙における党派的変動の大きさ」の2論点についてのみではあるが,1970年代以来蓄積されたデータに基づく分析結果を追加する。