選挙研究
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2005年イギリス保守党党首選挙の特質と意義
渡辺 容一郎
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2008 年 23 巻 p. 20-32,212

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抄録

2005年総選挙でブレア労働党に三度敗北したイギリス保守党は, 2回目となるOMOV党首選挙を実施した。その結果, 議員歴4年 (当選2回) にすぎない党内若手モダナイザーのキャメロンが, ベテラン党内右派・トラディショナリストのデーヴィスに大差で勝利した。これは, 前回 (2001年) の党首選挙と比較してみると, 全く正反対ともいえる結果であった。そこで本稿は, イギリス保守党員の政治観に関する筆者独自の調査分析をも踏まえて, (1) キャメロンの勝因, (2) キャメロン選出の意義について検討した。彼の勝因は, 「党大会」演説と巧みなメディア戦略 (イメージ管理) によって「政権奪回可能な党首」の演出に成功した点, そして党内外の情勢変化に党員の多くが反応した点などに求めることができる。結果的にキャメロンは, イギリス保守党史上初めて「下院議員, 党員 (党大会), メディアの合作でつくられた党首」として位置づけられる。

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