2005 年 47 巻 5 号 p. 350-354
原子力委員会の下で新しい原子力長計を審議するための「新計画策定会議」での審議を経て, 「核燃料サイクル政策についての中間とりまとめ」がまとめられた。これは, 使用済燃料の管理方策についての総合的な評価と審議を行った結果を反映して, 我が国における今後当面の核燃料サイクル政策の基本的な考え方をまとめたものである。これに至る審議においては, 全量再処理路線や全量直接処分路線などの複数のシナリオを想定し, それぞれについて経済性, 資源節約および供給安定性, 環境適合性などの複数の評価視点からの詳細な評価が行われた。特に着目を集めた経済性については, 使用済燃料の直接処分の設計評価を行った上でそのコストを算出し, 全量再処理路線と直接処分路線の発電コストの比較評価が行われた。この結果, 再処理路線の発電コストが直接処分路線よりも, 0.5~0.7円/kWh高くなることが確認されたが, その他の視点での再処理路線の優位性や様々な現実性を勘案して, 再処理リサイクル政策が総合的に妥当であると結論された。この中間とりまとめに至る審議の状況とその要点を解説する。