2006 年 48 巻 10 号 p. 785-789
軽水炉の高経年化に伴う材料劣化現象のひとつに, 照射誘起応力腐食割れ (IASCCと呼ばれる現象がある。多量の中性子をあびたステンレス鋼に起こる割れで, 高温の水にさらされながら, 引張の力を受けると発生する。この現象は, 材料の性質, 水の性質, 材料にかかっている力や歪が関与し, しかも放射線によってそれぞれが変化する, という複雑な現象である。この現象がなぜ起こるかということについて, 材料研究者の立場から進めてきた研究の一端を紹介する。