2007 年 49 巻 3 号 p. 192-198
科学技術コミュニケーターとは, 科学者と一般社会の間の橋渡しをする人材をいう。理想的な科学技術コミュニケーターは, 科学的な基礎知識をバックボーンに持ち, 難しい科学の情報を, わかりやすく上手に一般の人たちに提供する。しかも, そうやって提供する情報は「科学者側か提供したいと考えている情報」ではなく「一般市民が知りたいと考えている, いわば素人の文脈に沿った情報」である。
そのような観点から科学技術コミュニケーターを養成する「北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット (略称CoSTEP) 」の学生さんに, 2006年秋の大会を取材し, 見聞記をまとめてみることをお願いした。参加してくださったのは, 3人の女性の受講生。
いずれも理科系の基礎知識は持っているが原子力が専門ではない, いわば「半分素人」の感覚をもった人たちである。そうした立場の彼女たちの目に, 原子力学会はどう映ったのか, 従来の客観的な学会報告とは異なる視点での3人のリポートを紹介する。