2009 年 51 巻 11 号 p. 812-815
エネルギー需要の増大や地球温暖化問題を背景に,中国やインドでの原子力発電所の建設,米国での原子力利用の再評価など,世界的に原子力施設の増加が予想されている。万一,チェルノブイリ事故のような大規模な事故が発生した場合には,被災国における環境汚染のみならず,放射性物質が国境を越えて他国に飛来する可能性がある。そのような緊急事態に備え,計算シミュレーションにより,放射性物質の大気拡散や放出地点を迅速に推定し,欧米との情報交換も可能な緊急時環境線量情報予測システム世界版“WSPEEDI”の第2版(WSPEEDI-Ⅱ)が完成した。本稿では,このWSPEEDI-Ⅱについて紹介する。