2011 年 53 巻 8 号 p. 577-581
軽水炉では主要な構造物のほとんどに性能と実績と優れた材料としてステンレス鋼が使われている。ステンレス鋼は,溶接の際の高熱,製造や建設時の加工,使用中の放射線照射の影響によって発生する応力腐食割れに対応するため,多くの実炉データや研究開発により組成の改良や使用条件の改良が進められてきた。また,高経年化対策として,各使用環境での特性予測を可能とするための材料劣化メカニズム解明も進んでいる。本稿では,応力腐食割れへの対応を時系列的に紹介し,軽水炉でのステンレス鋼を取り巻く技術の変遷と課題を紹介する。