日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
解説
原子力発電所が受けた震災
事故の真因とこれからを考える
宮野 廣
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2012 年 54 巻 3 号 p. 171-175

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抄録

 膨大なエネルギーを持つ核反応は,人類にもたらされた豊かなエネルギー源として,原子力発電として発展させてきた。原子力発電のリスクというのは何か。「放射能リスク」を改めて認識させられたのである。福島第一原子力発電所の事故は,国,地方自治体,学術界,事業者(電力),メーカなど全てのステークホルダーにおいて,原子力発電にかかわりを持つ人々が,その役割においてその責任の自覚が薄く「原子力安全」の本質に取り組んでこなかったことが第一の要因である。その反省に立って,事態の調査,分析,評価を行い,対応へ活かしていかなければならない。その上で,福島の後処理と原子力発電の安全確保への取組み方について,適切に運用する体制や仕組みを作ることが必要であり,国際社会と協働してこれに取り組むことが,これからの日本の復興,発展に結びつくものであると考える。

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© 2012 一般社団法人 日本原子力学会
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