2012 年 54 巻 9 号 p. 583-587
1990年代より先進諸国では,電力の安定供給,電気料金の低廉化,新規ビジネスの創出等を目的に,電気事業制度改革が推進され,主に電力供給体制への競争原理の導入が推進された。しかし,米国カリフォルニア州での電力供給危機や北米北東部や西欧で発生した大規模停電以降,欧米諸国の電気事業では,電力系統全体での供給信頼度の確保,さらに地球環境問題への対応が重要課題となった。本稿では,米国と欧州諸国における電気事業制度改革の特徴について述べ,また,東日本大震災以降のわが国の電力安定供給のためのエネルギー政策と電力会社に依存しない地域主導の電力供給ネットワーク整備の必要性について論ずる。