2013 年 55 巻 9 号 p. 490-498
2011年3月11日に「東北地方太平洋沖地震」によって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所(以下,「福島第一」)での炉心溶融事故について,日本原子力学会・原子力安全部会(以下,「当部会」)は,事故を分析・評価するための「福島第一事故に関するセミナー」(以下,「セミナー」)を2012年2月17日以降,同年12月19日まで8回にわたって開催した。そして,一連のセミナーでの報告と議論の成果を,部会幹事や各回セミナーの報告者で取りまとめて,2013年3月に「福島第一原子力発電所事故に関するセミナー報告書―何が悪かったのか,今後何をすべきか」という報告書(以下,「セミナー報告書」)1)を作成した。この報告書の内容を,学会誌「特集」として5報にわたって報告する。本報(第1報)では報告書の概要として,セミナーの目的や開催経緯,福島第一および地震・津波の影響を受けたその他の発電所で起きた事象の概要,主たる結論を記述する。