2019 年 61 巻 6 号 p. 469-473
世界初のホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が1951年に米国の研究用原子炉を用いて実施されて以降2012年まで,BNCTは原子炉ベース照射システムでのみ行われてきた。2012年,京都大学複合原子力科学研究所に設置された加速器ベース照射システムを用いて世界初の加速器BNCTが実施された。現在,加速器ベース照射システムの開発が国内外で精力的に進められており,BNCTは特殊な粒子線治療法からより一般的な療法へと移行していく時期にある。BNCTの歴史的および技術的背景について説明するとともに,国内外のBNCT施設の現状について紹介する。