2020 年 62 巻 1 号 p. 16-17
高齢化に伴い近年では「がん」が日本人の死因の1位になっている。放射線治療はがん治療の3本柱の1つであり,欧米では8割方の患者が放射線治療を受けており,今後日本でもがんに対する放射線治療の割合は増加していくと考えられる。放射線治療は臓器の機能や美容を保ちながらがんを治療できる方法であり,大きな副作用が少ないのが特徴である。近年では放射線治療技術の進歩に伴い「強度放射線治療」や「定位放射線治療」が行われるようになっており,正常臓器を守りつつ標的 (腫瘍) に集中的に線量を付与することで副作用を軽減してがん治療を行うことが可能となった。これらの高度放射線治療を行うためには治療技術を正しく理解している「医学物理士」の存在が非常に重要である。