2021 年 63 巻 10 号 p. 723-727
一般公衆のトリチウムによる被ばくは,低線量・低線量率での内部被ばくである。低線量被ばくで起こりうる生体影響は発がんリスクの上昇である。ヒトへの放射線影響研究には動物個体を用いたin vivo(生体内)での発がんおよび突然変異の解析が重要である。さらに,低レベルのトリチウムにより影響が出るのかを明らかにするには,放射線に高感度の実験系が必要である。本稿では,トリチウムの生体影響の基礎知識とマウス個体と培養細胞を用いたトリチウムの生体影響研究の現状について紹介する。