2021 年 63 巻 8 号 p. 600-604
本稿では,まず「討議デモクラシー」という新しい民主主義のアプローチについて,討論型世論調査(Deliberative Poll)を取り上げながら概説する。次に,一般市民などから構成される群衆の知恵は,専門家の知恵にも勝ることが多いという「Wisdom of Crowds(群衆の英知)」について解説し,Wisdom of Crowds論の観点から討議デモクラシーの可能性を考察する。その上で,リスク認知バイアスの観点から,留意事項と今後の展望を述べる。