抄録
第46回日本甲状腺外科学会学術集会を平成25年9月26日,27日名古屋市 ウィンク愛知にて開催させていただきました。会長を拝命してから約2年間,色々な企画を考えてまいりました。そして,プログラムの隅々にその思いを盛り込みました。メインテーマは先達の背中から見た甲状腺・副甲状腺外科の明日としました。SwedenからAkerstrom先生,TaiwanからChiang先生,ItalyからElisei先生,そして日本からは宮内先生,高見先生に特別講演でお話しいただきました。今学会へ出席いただいた若い先生方に感激していただきたかった。この分野の明るい未来を充分感じ取っていただけたと期待しております。今学会を契機に一人でも多くの若い先生がわれわれの仲間に入って下されば幸いです。色々な分野との知識の交流を計りました。内科,放射線科,病理と外科とのクロストーク,教育セミナー,ランチョンセミナー,CPCなどですが,より大局的に甲状腺・副甲状腺外科を診る契機になっていただけたと存じます。又,未分化癌コンソーシアム,日本甲状腺病理学会,市民公開講座,PSSJとの合同シンポジウムの機会を設けました。サブテーマは反回神経と副甲状腺としました。Chiang先生,Akerstrom先生のすばらしい特別講演を皮切りに,いくつかのシンポジウム,ワークショプで両テーマを取り上げました。熱のこもった討議がなされうれしく感じております。今回は副甲状腺に関する演題が多く,口演,ポスターにも多くの発表が見られました。もうひとつの取り組みは,国際化です。今回は韓国から3題の演題の応募がありました。抄録の演題名,発表者,所属は英語表記いただき,発表スライド,ポスターは出来る限り英語で表記するようにお願いしました。少なからず英語表記のポスターが見られましたし,口演を英語で発表された方もいらっしゃいました。国際化,特にアジアの国々との交流は積極的であるべきと考えます。本学会での発表を国際学会,英語での論文投稿の登竜門になることを望みます。是非次からの学会会長にも継続いただきたいと存じます。さて,甲状腺の手術の際,重大な問題となる合併症のひとつは副甲状腺機能低下症です。Billrothが甲状腺手術をした際,テタニーが併発し,そのことから副甲状腺の存在が注目され,その機能が確認されたのは有名な話です。本学会でもワークショップ2で甲状腺手術における副甲状腺機能温存はどの様にするか?を取り上げ,川崎医大 乳腺内分泌外科,田中 克浩先生と,野口病院 内野 眞也先生に座長をお願いしました。甲状腺と副甲状腺の接点である本問題を,今回の特集に選択したいと思います。6名の演者の方々には本問題について熱く語って頂きました。皆様における今後の診療のお役に立つものと期待いたします。