日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Print ISSN : 2186-9545
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目次
編集委員会
特集1
  • 北村 守正
    2020 年 37 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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  • 楯谷 一郎
    2020 年 37 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    頭頸部には咀嚼・嚥下・発声・味覚・聴覚など社会生活を送る上で重要な機能が集中しており,また顔面・頸部という露出した部位が関わるため,口腔などのnatural orificeや小さな皮膚切開から低侵襲治療を行えるロボット支援手術は,頭頸部外科領域と相性の良い手術法である。頭頸部外科領域におけるロボット支援手術は咽頭がん・喉頭がんを主対象とした経口的ロボット支援手術と甲状腺がんを主対象としたロボット支援下甲状腺手術・頸部手術に大別される。経口的ロボット支援手術は先進医療Bが実施されて2018年に薬機法上の適応となり,関連学会によって手術実施における指針や教育プログラムが整備された。現在は保険収載を目標と下取り組みが学会として実施されている。一方,甲状腺領域はda Vinci surgical systemの適応外であり,今後国内でのエビデンスが蓄積されて薬機法上の適応取得並びに保険収載に繋がることが期待される。

  • 石川 紀彦
    2020 年 37 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    従来の甲状腺切除術に低侵襲性,整容性を高める目的で内視鏡下甲状腺切除術が開発された。その内視鏡手術の限界を克服する手術支援ロボットの導入は,多自由度鉗子,高解像度3次元画像の提供など更に高度な内視鏡手術を実現するものとなった。da Vinci surgical systemを用いたガスレス腋窩アプローチによるロボット支援下甲状腺切除術は,前胸壁,耳介後,経口などのアプローチに比して側方から甲状腺を展開するため甲状腺全体だけでなく,副甲状腺や反回神経の確認に優れており,頸部リンパ節郭清をも安全に行うことが可能となる。また,送気法と異なり空気と血液の陰圧吸引が常時可能となるため安定した術野の維持が可能となる。国内では保険収載されていないことが最大の問題と言えるが,ロボット支援下甲状腺切除術は更に緻密かつ安全な次世代の甲状腺手術となり得ると考える。

  • 中条 哲浩, 南 幸次, 平島 忠寛, 佐保 葉月, 永田 彩子, 新田 吉陽, 夏越 祥次
    2020 年 37 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    保険収載により甲状腺内視鏡手術は普及期に入ったが,その特徴は送気法・吊り上げ法の違いだけでなく多彩なアプローチ法が存在することである。本稿では吊り上げ法の現状について述べる。

    甲状腺内視鏡手術は吊り上げ法でも十分な操作腔の確保が可能であり,世界的にも吊り上げ法を採用する施設が多い。日本で行われている代表的な吊り上げ式内視鏡手術にはVANS法,VANS変法,腋窩法などがあるが,耳介後部アプローチや内視鏡補助下の小切開手術も報告されている。吊り上げ法の利点は,ミスト対策が容易,開創手術用器具も使用できる,ランニングコストが安価なことなどである。問題点は単項式手術に近く独特の鉗子操作であることと,送気圧によるoozing抑制効果がないため甲状腺表面の止血に難渋する場合があることである。吊り上げ法を含む各術式のBrush upにより甲状腺内視鏡手術はさらに普及すると考えられる。

  • 池田 佳史, 齋藤 慶幸, 加藤 弘, 高見 博
    2020 年 37 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    送気法による腋窩・前胸部からの鏡視下手術の現状と今後の展望について報告する。1999年から2019年9月までの経験症例は214例であり,良性疾患181例,悪性疾患33例であった。良性疾患の平均腫瘍径は40mmであり最大75mmであった。また,縦郭伸展のために胸腔鏡を併用した症例は2例あった。悪性疾患症例は,15mm以下の乳頭癌が30例と切除後に微小浸潤濾胞癌と診断された3例であった。乳頭癌には全例同側の中央区域リンパ節郭清を施行した。1例のみ外側区域のリンパ節腫瘍をサンプリングし転移であった。開放手術に移行した症例は2例あり,いずれも1999年の症例で出血と甲状腺の脱転不良が原因であった。その他に術中出血の症例は2例あり内視鏡下の対応が可能であった。反回神経損傷は1例あり神経縫合を鏡視下に施行した。術後出血を1例に経験し再手術で止血可能であった。送気法による内視鏡手術においても術中・術後トラブルに対する対応は可能であり適応を広げられる可能性は十分にある。技術・器具が発展してきた現在では整容性の利点のみならず低侵襲という面からのメリットもあると思われる。今後は,やればできるではなく,本当にメリットがある手術とは何かを考える必要がある。

  • 坪井 光弘, 青山 万理子, 滝沢 宏光, 吉田 光輝, 岩田 貴, 赤池 雅史, 金山 博臣, 鶴尾 吉宏, 丹黒 章
    2020 年 37 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    医療安全への社会的な関心が高まり,手術手技の修練はいきなり患者で行うのではなくOn-the-job trainingによる臨床経験を積んだ上で,まずは模型や動物などによる練習を行うことが求められている。甲状腺内視鏡手術で要求される技術レベルは高いが,先進的であるためにトレーニングの機会が少なく,また人体との解剖学的差異のために動物を用いたトレーニングも困難である。よって安全な甲状腺内視鏡手術を習得する教育システムの構築が急務である。本学ではドライラボトレーニング,シミュレーショントレーニング,カダバートレーニングを組み合わせた卒前卒後一貫型の実践型内視鏡手術トレーニングプログラムを構築し,外科医師の育成,特に内視鏡手術手技に関する教育を進めている。特に,カダバートレーニングは医療安全に配慮した上で十分に実践的なトレーニングが可能であるため,幅広い医師が参加できるような体制が望まれる。

特集2
  • 福島 光浩
    2020 年 37 巻 1 号 p. 27
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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  • 佐々木 栄司, 福成 信博
    2020 年 37 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    甲状腺腫瘍などにおいて超音波下での穿刺吸引細胞診(Fine Needle Aspiration Cytology: FNAC)は必須の検査であり多くの施設で行われている。腫瘍径が小さな場合は腫瘍への的確な穿刺を超音波画像で確認し,細胞量の確保に努める。しかし,腫瘍が大きい場合は細胞採取部位を腫瘍内のどこに決定すれば良いのか判断に迷う場合も少なくはないと考える。

    超音波画像,マクロ像,病理組織像を一致させ検討することで超音波特性による腫瘍内のエコーレベルの違いを解説させていただいた。また,それを基に腫瘍内における適切な細胞採取部位とその細胞像,さらに,穿刺の際に陥りやすいピットフォールを述べた。

    また,近年の超音波機器は微細な腫瘍内血流や組織弾性を評価する機能が付加されている。そのような機能を使用しながらのわれわれの施設で行っている濾胞性腫瘍に対するprospectiveな取り組みの知見を述べさせていただき,適切な細胞採取部位を考えた。

  • 廣川 満良, 鈴木 彩菜, 川木 裕子, 工藤 工, 木原 実, 宮 章博, 宮内 昭
    2020 年 37 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    甲状腺穿刺材料を用いた補助診断法について概説する。穿刺針洗浄液を用いた生化学検査,たとえばサイログロブリン,カルシトニン,PTHなどは細胞診よりも診断精度が高く,比較的安価であることから,適応や評価を十分に理解したうえで積極的に用いるべきである。リンパ腫,特にMALTリンパ腫を疑った場合は,フローサイトメトリーによる軽鎖制限の確認は非常に有用である。遺伝子検査は本邦では未だ日常的には行われていないが,今後細胞診で濾胞性腫瘍や意義不明と報告された結節に対して行われていくことになるであろう。

  • 鈴木 彩菜, 廣川 満良
    2020 年 37 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    液状化検体細胞診(Liquid-based cytology;LBC)とは,採取した細胞を固定保存液に回収後,専用の医療機器を用いて細胞診検査用標本を作製する技術である。甲状腺細胞診へのLBC導入により,標本作製の標準化,検体不適正率の減少,LBC標本独自の細胞所見や免疫細胞化学染色による診断精度の向上,鏡検作業の負担軽減が期待できることから,今後のさらなる普及が予想される。ただし,LBC標本の細胞所見は通常塗抹標本と異なる点があるため,鏡検時には注意が必要である。LBCを導入する際は,いきなりLBC標本のみ作製するのではなく,通常塗抹標本と通常塗抹標本作製後の針洗浄液を用いたLBC標本を併用し,両者の細胞像を比較する期間を設けることを推奨する。

  • 北川 亘
    2020 年 37 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    甲状腺穿刺吸引細胞診は甲状腺腫瘍の鑑別に必要な検査であり,低侵襲で安全な検査手技である。しかし,ときに緊急処置が必要な出血や急性のびまん性甲状腺腫大などの合併症が起こることがある。出血に関しては緊急手術が必要になったり,死亡例も報告されている。甲状腺穿刺吸引細胞診の合併症を細胞診に携わる医師をはじめ,臨床検査技師,看護師が十分理解することが重要である。合併症発症時には的確に対処することが,医療安全の面からも極めて重要となる。この章では,甲状腺穿刺吸引細胞診の主な合併症に関して概説した。

  • 志村 浩己
    2020 年 37 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    甲状腺結節の診断において穿刺吸引細胞診,Core Needle Biopsyは必要不可欠の検査であり,いずれも超音波ガイド下にて行われている。しかし,正確な診断には適切な穿刺手技と検体作成が重要であるとともに,穿刺に関連する医療安全にも留意する必要がある。また,甲状腺癌は極めて低リスク甲状腺癌の診断による過剰診断および過剰治療が問題となっており,細胞診や組織診断の適応評価の標準化も重要である。これらを求められる水準で行うためには,穿刺を実施する医師のみならず,それを補助する技師の技術向上および知識習得が望まれる。日本乳腺甲状腺超音波医学会は,「甲状腺ガイド下穿刺診断専門医」資格とメディカルスタッフ向けの「甲状腺超音波ガイド下穿刺コーディネーター」資格も同時に創設することとした。本資格の新設が,甲状腺超音波ガイド下穿刺のレベルアップを図り,本学会の発展にも寄与できることを望みたい。

症例報告
  • 植木 雄志, 高橋 剛史, 太田 久幸, 正道 隆介, 山崎 恵介, 梅津 哉, 堀井 新
    2020 年 37 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/16
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    【症例】71歳女性。骨粗鬆症で加療を受けていたが高カルシウム血症を指摘され,当院に紹介となった。FDG-PETで副甲状腺腫瘍と骨への多数の集積を認め,99mTc-MIBIシンチグラフィでは左下副甲状腺への強い集積と,骨病変への弱い集積を認めた。シナカルセトを投与するも高カルシウム血症が改善しないため腫瘍摘出術を施行したところ,病理診断は副甲状腺癌であった。術後血清カルシウム,PTH-intactは正常化した。術後1年経過した時点でFDG-PET再検したところ,骨病変の集積は消退し,硬化性変化が進行していたため,Brown tumorの合併であったと判断した。【まとめ】副甲状腺癌とBrown tumorの合併はきわめて稀であるが,副甲状腺腫瘍に骨病変を伴う場合はBrown tumorを念頭に置き原発巣切除後の画像検査で骨病変の評価を行うことで,侵襲的な検査・治療を回避できる可能性が考えられた。

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