日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
症例報告
手術により神経症状が著明に改善した副甲状腺癌の1例
會田 直弘上里 昌也白鳥 享宮澤 幸正松原 久裕
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2014 年 32 巻 1 号 p. 57-62

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抄録

症例は69歳女性。主訴は眩暈,筋力低下,歩行障害。2年ほど前より眩暈,筋力低下を認め,近医にてパーキンソン症候群と診断され内服加療中であった。2011年2月,症状の増悪を認めたため前医を受診し,高カルシウム(Ca)血症とCT検査にて頸部腫瘤を指摘された。原発性副甲状腺機能亢進症が疑われ当院内科に紹介となった。内科にて薬物治療を試みたがCa値の低下は軽度であり症状の改善も認めなかった。その後当科紹介となった。頸部超音波検査にて副甲状腺癌が疑われ,2011年6月,甲状腺右葉切除+頸部リンパ節郭清術を施行した。病理所見にてリンパ節転移を伴う副甲状腺癌の診断を得た。Ca値は速やかに低下し,術後わずか1週間で歩行可能となった。術後2年4カ月無再発生存中である。原発性副甲状腺機能亢進症に高Ca血症を伴うことが多いが,内科治療抵抗性のものは積極的に副甲状腺癌を疑う。また,副甲状腺癌に伴う神経症状は稀であるが,手術により著明に改善しうることが示唆された。

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