日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
「特集2.米国甲状腺学会(ATA)ガイドラインを読み解く:わが国からのエビデンス発信の影響と日本の甲状腺癌診療の将来展望」によせて
岡本 高宏
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2015 年 32 巻 4 号 p. 246

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抄録
臨床の現場では不確実さにどう向き合うかが常に課題となり,甲状腺がん診療もその例外ではない。全摘をしなくてよいのか?経過観察で大丈夫か?そうした疑問に既に答えがあり,それに基づく一定の指針があれば医療者は患者さんと決断を共有できる。診療ガイドラインの果たす役割は大きい。ただし,それで事足れりではない。たとえば同じTNMでも葉切除で全く問題ない患者さんがいる一方で,全摘後に補助療法を行っても再発する場合がある。つい先頃この世を去ったサケット先生は,予想通りあるいは期待通りにいかない可能性を数値にして「エビデンス」と呼んだが,これは「平均値」と言い換えてもよい。患者さんは皆平均人ではない。平均値に基づくガイドライン通りに診療を行っても,うまくいかないことがある。こうした現実に向き合うには,私たちが暮らす地域の人,歴史,文化を理解する必要がある。海外のガイドラインを参考にする際にもそれを忘れてはならない。エビデンスが医療に必要な知識の,ほんの一部に過ぎない所以である。本特集でご執筆いただいたエキスパートの先生方には厚く御礼申し上げます。
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