ティックデータを使ったボラティリティの超短期の予測方法について新たな提案と考察を行うのが本稿の目的である. ティックデータから日中ボラティリティを求める代表的な方法としてEngle (2000)のACD-GARCHモデルがある. このモデルの最大の特徴は日中ボラティリティと約定間隔をはじめとするマーケットマイクロストラクチャ要因間の仮説検定を可能にしたところにある. Théoret and Coën [2008]はACD-GARCHモデルを使った日中ボラティリティの超短期予測(3日分)を行う方法を提案した. ただし, 彼らの先行研究ではゼロ約定間隔と日中ボラティリティの関係についての言及はなかった. そこで本稿ではゼロ約定間隔を調整するための高 (2016)によるパラメータ修正を適用した上で, 日中ボラティリティの超短期予測にゼロ約定間隔が与える影響についた考察を行った.