地下水学会誌
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技術報告
冷蔵および冷凍保存された地下水中の無機態窒素濃度と有機物濃度の変動
玉村 修司酒井 利彰清水 了石島 洋二五十嵐 敏文
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2012 年 54 巻 2 号 p. 107-116

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抄録

北海道幌延町下沼地区で,深度37m(S1),45m(S2)および75m(S3)の地下水をサンプリングした。ろ過せず冷蔵(4℃)および冷凍(-20℃)保存されたサンプル中の無機態窒素濃度の変動と,有機物濃度の変動との関係を調べた。その結果,サンプル中のNO3,NO2およびNH4は,およそ2ヵ月間の保存日数の経過にともなう最大20倍程の濃度変動が,S1とS2サンプルで認められた。これらNO3とNH4濃度は負の高い相関(相関係数 -0.98)を示し,微生物による硝化作用や異化型硝酸還元が起こったと推定された。一方有機物は,冷蔵・冷凍保存期間によらず,測定誤差範囲内で濃度が保たれた。この原因として,TOCを構成する主要有機物が,微生物利用能の乏しい腐植物質であるためと推定された。

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© 2012 公益社団法人 日本地下水学会
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