2017 年 59 巻 1 号 p. 11-19
時間領域反射法(TDR)に代わる土壌の体積含水率(θ)・電気伝導度(EC)の計測法として,時間領域透過法(TDT)が検討されている。なかでも,センサーヘッドに高性能マイクロチップを搭載したSDI-12プロトコル型デジタルTDTセンサーは,θとECの計測を手軽に実施できるツールとして脚光を浴びている。TDTセンサーの性能を評価するために,NaCl溶液と混合した豊浦砂を供試土として広帯域マイクロ波ステップパルスのTDT波形を取得し,伝播時間および振幅を測定した。信号の減衰が著しい高水分・高溶液EC条件を除けば,θを決定することが可能であった。一方,低水分・低溶液EC条件ではEC値がゼロと出力されたものの,TDT波形の最大勾配値に基づく校正式を提案し,同式による土中溶液のECの推定が可能であることを明らかにした。