地下水学会誌
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論説
六フッ化硫黄(SF6)を用いた地下水の滞留時間推定における課題と展望
榊原 厚一辻村 真貴浅井 和由
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2017 年 59 巻 2 号 p. 87-103

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抄録

水資源の質・量評価や持続的開発を行う上で,地下水の滞留時間情報は重要である。我が国における浅層地下水の平均滞留時間は数年から数十年とされ,その推定には六フッ化硫黄(SF6)をトレーサーとして用いる手法が最も有効である。本稿では,SF6を用いた地下水の滞留時間推定法に関し,原理,問題点,制限要因等を概説する。さらに代表的な研究事例を紹介しながら今後の研究課題を展望する。SF6の大気中濃度は将来においても単調に増加すると予測され,水文科学における本手法の有するポテンシャルは継続的に高まっていくと考えられる。我が国における地下水中のSF6濃度に関し,様々な場の条件下での観測を継続し,着実に蓄積することが重要である。

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© 2017 公益社団法人 日本地下水学会
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